磁石のすゝめ
「磁石の戦士(マグネット・ウォリアー)」というカード群がある。
初出は原作「遊☆戯☆王」にて主人公である「武藤遊戯」が使用したカード群である。
つまり初めて登場してから実に20年前後の月日が経っている、由緒正しきカード群だ。
2016年に発売された「ストラクチャーデッキ-武藤遊戯編-」にて「電磁石の戦士(エレクトロ・マグネット・ウォリアー)」というカードが新たに加わり、OCGではここでようやく「カテゴリ」として確立された。
しかし、実際に磁石の戦士を本気で考察している人間はいない(個人調べ)。周囲の印象はいわゆる「環境外のカジュアルデッキ」程度に落ち着いている。
電磁石の登場からおよそ2年弱、考察を続けたこのカテゴリについて書き留めておく。
もし、この記事がきっかけで磁石の戦士に触れたくなった、使用していたデッキが強化されたーといった事があれば、自分も非常に嬉しく思う。
【はじめに】
「磁石の戦士」とはどのようなカテゴリか?
通常モンスター3種類
効果モンスター6種類
融合モンスター1種類
専用サポート 2種類
の計「12種類」からなるカテゴリである。カテゴリ内モンスターはすべて岩石族で統一されており、種族サポートを受けることができる。
また、メインデッキに入るエースモンスターが存在するため、たとえば「エクストラ封じ」などの妨害手段に対しても強く出ることができる。
※「紹介する」と謳っているのに、ここに書く内容ではないかもしれないが・・・どうしても伝えておきたいので
《超電動戦機インペリオン・マグナム》はマジで意味わかんないくらい弱いので見なくて良いと思っています。
https://twitter.com/kotonohakami/status/975832070193782784
【磁石デッキの基本的な動き】
基本的には「2枚以上のカードの組み合わせ」になる。1枚で盤面を崩せるようなカードは無く、事前の準備が必要となる。
ギミック1:《電磁石の戦士γ》+「電磁石の戦士」モンスター
『γ召喚→「電磁石の戦士」モンスターを特殊召喚→2体で《彼岸の黒天使ケルビーニ》をリンク召喚』
テーマカードだけで始動できるギミックであり、更に分岐できるため汎用性が高い。
例えばγで特殊召喚したカードが《電磁石の戦士β》
なら、手札に《電磁石の戦士α》
を持ってくる事ができるので《ダンディライオン》を墓地へ送りリンク経由しつつ《トロイメア・ゴブリン》をリンク召喚する事で《電磁石の戦士マグネット・ベルセリオン》
までアクセスできる。
γで特殊召喚したカードが《電磁石の戦士α》なら《電磁石の戦士マグネット・ベルセリオン》が手札にあるので、ケルビーニで足りない磁石ーすなわち《電磁石の戦士β》を墓地へ送れば、即座にベルセリオンの召喚条件を整えることができる。
注意点として「電磁石の戦士γ」で「電磁石の戦士γ」は特殊召喚できない。カブってしまうと腐るので注意が必要。
同名カードは出せない
ギミック2:「電磁石の戦士」モンスター+《リビングデッドの呼び声》関連の墓地蘇生罠
『電磁石の戦士を召喚、リビングデッドを伏せてターン終了→相手ターンに電磁石をリリースして《磁石の戦士δ》を特殊召喚、効果で《電磁石の戦士β》を墓地へ送る→《リビングデッドの呼び声》で墓地に送った電磁石の戦士βを蘇生、効果でサーチ』
電磁石+蘇生罠の2枚でベルセリオンに必要なカード3枚を集める事ができるが、相手ターンを経由する必要がある。
初動になる電磁石はα、β、γどれでも良く、α、βならばアドバンテージを損なわず上記の展開ができる。
ギミック3:「電磁石の戦士」モンスター+《激流葬》
『相手モンスターの召喚時に電磁石の効果でリリース→チェーンして激流葬→モンスターを全て破壊してから、デッキから☆4の「磁石の戦士」を特殊召喚』
場を一層しつつこちらに壁を残すことができる。この組み合わせは非常にテクニカルで、他にもバトルフェイズ中に電磁石の効果を使用してから激流葬を撃つことができる。激流葬をフリーチェーンで使用できるようになる。「ギミック2」とも好相性。
ギミック4:《磁石の戦士δ》+《マグネット・フィールド》または蘇生カード
『磁石の戦士δを召喚し効果で任意の「電磁石の戦士」モンスターを墓地へ送る。マグネット・フィールドの効果で落としたカードを蘇生』
各種電磁石にアクセスしつつ、手札と相談して展開パターンを構築できる。たとえば
「手札にα・βがあるならγを落として蘇生→γ効果で展開」
「手札にバニラ磁石があるならバニラを落として蘇生→リンク・スパイダーで展開」等・・・
※上記1~4のギミック自体にそれぞれ相互シナジーがあるため、この「2枚」+1枚といった手札ならば、更に展開できる選択肢を増やせる。
【磁石と相性の良いカード・またその運用方法】
地属性・岩石族であり、レベルは3・4・8と均等に分かれている為、対応したレベルや種族のサポートカードを併用できる。
ブロックドラゴン
磁石デッキを磁石デッキたらしめる最強の岩石族サポートカード。効果によって「電磁石2枚+☆2」の組み合わせでサーチができる為、ベルセリオンへのアクセスがより容易になる。フィールドに残しておけば、岩石族モンスターを戦闘以外で破壊されなくするので、前述した激流葬などとも相性が良い。
怒気土器
手札の電磁石を任意の電磁石に変換したり、バニラ磁石をδに交換できるカード。単純に展開に+1できる上に、発動コストで手札を捨てる為、墓地蘇生やベルセリオンとも相性が良く無駄にならない。レベルが☆2の為、ブロックドラゴンで電磁石2枚と合わせてサーチができる。つまりブロックドラゴン1枚でベルセリオンの召喚条件が整う。
《ジェムナイト・ジルコニア》を指定する事でデッキからブロックドラゴンへアクセスしつつ、墓地・フィールドに地属性モンスターを1体ずつ供給できる。
ブロックドラゴンが既に墓地にある場合は各種「磁石の戦士」を墓地へ送るカードとしても使えるので、2枚目以降の《おろかな埋葬》のようにも使用できる。
召喚権を使用せずモンスターを1体用意できるのでリンク召喚全般と相性が良く、リンク素材となったジルコニアはブロックドラゴンのコストになれるので、1枚で一切の無駄がない。
発動するために必要な「ジェムナイト」モンスターを《ジェムナイト・ラズリー》とする事で、既に墓地へ送られていたバニラ磁石を回収したり、ブロックドラゴンで「4+3+1」の組み合わせでデッキサーチが行えるようになったりする。
この項目からわかる通り、岩石族という種族は「ブロックドラゴン」という最強のサーチ兼展開補助カードを有している為、いかにしてこのカードを運用していくかがデッキの強さになってくる。
【デッキレシピ】
【カジュアル】
「磁石の戦士」で戦うことを主目的とした構築。バニラ磁石まで含めて使用し、各種「電磁石の戦士」の②効果を発動する回数を多くできるようにしている。蘇生罠との相性が非常に良い為「相手ターンで行なうことができるアクション」が非常に多いのが強み。展開パターンが任意で行うアクションなので《増殖するG》に対して止まったりできる。
【芝刈り岩石】
メインデッキを60枚に増量し《隣の芝刈り》を採用、いかにしてブロックドラゴンへアクセスするかを主目的とした構築。「磁石の戦士」モンスターを絞る事で優秀な岩石族モンスター《フォッシル・ダイナ・パキケファロ》や《コアキメイル・オーバードーズ》などを採用でき、また展開力・スピードも格段に増している。
【コンボ一覧】
1:「トポロジック・ボマールート」
必要札:『《ブリリアント・フュージョン》+地属性モンスター2枚』
①ブリリアントフュージョンを発動。ジェムナイト+ブロックドラゴンを墓地へ送り、ジェムナイトジルコニアを特殊召喚。
②手札の地属性モンスター2枚と、墓地のジェムナイト1枚を除外してブロックドラゴンを墓地から特殊召喚。
③2体で《ミセス・レディエント》をリンク召喚。ブロックドラゴンの効果でデッキから「怒気土器+電磁石の戦士β+電磁石の戦士α」の3枚を手札に加える。
④怒気土器を通常召喚し、αを捨ててデッキから電磁石の戦士γを特殊召喚。γの効果でβを特殊召喚し、効果で任意の「磁石の戦士」をサーチする。
⑤ミセス+怒気土器+電磁石1枚で《トポロジック・ボマー・ドラゴン》をリンク召喚。
⑥墓地の怒気土器、ジルコニア、ミセスの3枚を除外してブロックドラゴンを墓地から特殊召喚。
【カジュアル】で使用可能。最終的に「トポロジック・ボマー・ドラゴン+電磁石の戦士+ブロックドラゴン」の盤面になる。
相手ターン中に電磁石の戦士モンスターをリリースし、☆4の「磁石の戦士」モンスターをトポロジックのリンク先に特殊召喚することで、相手ターン中にトポロジックの効果を能動的に使えるようになる。
なお、こちらのモンスターは「ブロックドラゴン」の効果で破壊されない状態になっている。
2:「ハリファイバールート」
必要札:『《電磁石の戦士γ》+「電磁石の戦士」モンスター』
①電磁石の戦士γを召喚。効果で手札の「電磁石の戦士」モンスターを特殊召喚。
②2体で《メリアスの木霊》をX召喚。効果でデッキから《グローアップ・バルブ》を墓地へ送る。グローアップ・バルブ自身の効果で特殊召喚。
③2体で《水晶機巧-ハリファイバー》をリンク召喚。効果でデッキから《幻獣機オライオン》を特殊召喚。
④2体で《サモン・ソーサレス》をリンク召喚。幻獣機オライオンの効果でトークンを生成。トークンを参照しサモン・ソーサレスの効果でデッキから《ジェット・シンクロン》を特殊召喚。
⑤ジェットシンクロン+トークンで《魔界闘士バルムンク》をS召喚。ジェットシンクロン自身の効果で特殊召喚。
⑥ジェットシンクロン1体で《リンクリボー》をリンク召喚。
⑦3体で《ライトロード・ドミニオン キュリオス》をリンク召喚。効果でデッキからブロックドラゴンを墓地へ送る。
【芝刈り岩石】で使用可能。ブリリアントフュージョンを引かなくてもブロックドラゴンへアクセスできる。必要札は「電磁石2体」と記載したが、要するにハリファイバーへつなげる事ができればどれでも良いので「マスマティシャン」や「グローアップ・バルブ」「魂喰いオヴィラプター」「俊足のギラザウルス」と選べるカードが多く存在する。
3:「キュリオスルート」
必要札:『《マスマティシャン》+《俊足のギラザウルス》』
①マスマティシャンを召喚。効果でデッキからグローアップバルブを墓地へ送る。バルブ自身の効果で特殊召喚。
②俊足のギラザウルスを特殊召喚。
③3体でライトロード・ドミニオン キュリオスをリンク召喚。
【芝刈り岩石】で使用可能。
非常にコンパクトなタイプ。マスマティシャンによって墓地へ送るカードは《ドットスケーパー》や《リバイバルゴーレム》でも良い。
【最後に】
どれだけテーマに可能性があるという事が伝わっただろうか・・・
「どんなテーマかわからない」「融合体が出せない」「デュエルリンクスの情報しか出てこない」というのが、ネットで検索したりSNSで検索したりした個人的な見解です。
誰1人として真面目に「磁石の戦士」というテーマについて考えていない・・・ならば考えている自分が発信するしかないだろう、といった経緯でこの記事を書きました。
もし興味が湧いてきたら、ぜひともデッキを組んで遊んでみてください。
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